Massive XのPerformerとRemote Octave日本語マニュアル

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昨日Massive XのPerformerとRemote Octaveに関するマニュアルが公開されました。

いまだ日本語のマニュアルが出ていないため、ユーザーは不便を感じる場面も多いことと思います。ここではひとまず公開された英語マニュアルを訳出してご紹介します。

以下は『Massive X: Performers & Remote Octave』1)pdfリンクの全訳です。

 

Performer

Performerは柔軟な方法で複雑なモジュレーションを一度に複数のパラメーターに加えることができます。P1、P2、P3とラベリングされたタブを用いるNavigation Barからアクセスします。PerformerはMassive Xのエディタセクション内にあります。

Performerはそれぞれ最大12個の異なるモジュレーションパターンを含み、それらはキースイッチによって演奏中に操作したり、あるいはRemote Octaveを用いてホストシーケンサーでプログラミングすることができます。

PerformerはBasicとCustomという2つのエディタを持ち、これらを使うと素早くモジュレーションカーブをPerformerのレーンに「描く」ことができ、パターンを形成できます。デフォルトのBasicエディタは柔軟な特徴を持ちます。一方Customエディタを使うと、より細かく正確な結果を得るためにカーブの付け加え方に制限を設けることができます。

Gridビューを用いれば3つのPerformerを同時に概観することもできます。これによりパターンのコピー、スワップ、デリートが容易になり、さらにパターンをどうやってトリガーするか設定することや、Remote Octaveを用いてキースイッチによりパターンをどのように変化させるかの設定も容易になります。

Performerの概観

このセクションではPerformerの特徴を概観します。Basic GridとCustom Grid、Overlay、エディットツールについて紹介します。

 

(1)Gridモード:3つのGridモード(縦、横、Overlay)を選択します。それぞれのGridモードはエディットツールを用いてどのようなシェイプをグリッドに描くのかを決めるオプションがあります。

  • 縦のライン(X軸):Gridモードとドローイングツールを選択します。グリッドにシェイプを描くためにリズムグリッドを設定するオプションがあります。
  • 横のライン(Y軸):クオンタイズされた描画エデイットモードを選択します。ここではPerformerの縦軸=Y軸におけるパラメーター値(クオンタイズ値)に使用するステップ数を設定するオプションがあります。デフォルトではステップ数は24に設定されています(Bipolarでは−24から+24まで、Unipolarでは0から+24まで)。
  • Overlay:OverlayとOn/Off(パワーボタン)をクリックしてGridエディットモードに入ります。Overlayの位置と幅はOverlay最上部にある三つのハンドルを使って変えられます。分割の数はOverlay Divisionsで設定します3)この箇所は原文では間違った説明になっていると思われるため修正。Overlayはエディットセクションにそなわっているものと同様、ストレッチコントロールをそなえています。違いは、グリッドそのものをストレッチできる点です(選択したモジュレーションノードをストレッチするわけではありません)。これにより速度を上げ下げするモジュレーションセクションを作るためのガイドとしてOverlayを使用するのが簡単になります。また、Overlayを使用すると四分音符よりも広い幅のグリッドを作ったり、通常と異なるタイミングで奇数分割することもできます。
  • Overlay On/Off:Overlayのグリッド表示、非表示を決めます。

 

(2)Basic/Custom Grid:グリッドのモードをBasicとCustomで切り替えます。

  • Basic GridはPerformerグリッドにドローイングツール(8)4)原文では6になっていたが8と思われるを使ってカーブを描くデフォルトのオプションです。Basicモードを使ってグリッドの拍子とリズムの細かさを決定して下さい。分割の値は四分音符から32分音符まで設定可能です。
  • Custom Gridは最大8つの異なるディビジョンをもつ複雑なリズムグリッドと拍子を作り出すために使用します。Customグリッドは何度か拍子が変わるような場合に使用して下さい。CustomモードではBeat per Bar[小節内の拍数]5)原文はthe number Barとなっているため訂正、Beat Length[拍の長さ]、Subdivision[下位分割]を設定して下さい。

(3)Loopマーカー:Loopマーカーのハンドルをドラッグして、演奏に必要なモジュレーションパターン・セクションの開始点と終了点を決定して下さい。マーカーで囲われたセクションの演奏の仕方は、Performer Gridオーバービューにおいてどのモードが設定されているかによって決まります。次のオプションがPerformer Gridオーバービューにおいて使用できます。

  • Loop:Loopマーカー内にあるセクションが繰り返されます。
  • OneShot:Loopマーカー内のセクションが一度だけ演奏されます。

Remote OctaveとPerformer Gridオーバービューに関する詳しい説明は、「Remote Octaveの概観」をご覧ください。

Tip:Loopマーカーをダブルクリックするとループの長さを最長のパターンにリセットできます。

(4)Eventセレクトゾーン:このエリアでクリック&ドラッグし、複数のモジュレーションポイントを選択します。モジュレーションのエディットについて詳しくは「モジュレーションをエディットする」をご覧ください。

(5)Editor:ドローイングツール(8)6)原文では6になっていたが8と思われるとエディットツール(9)を使ってモジュレーションを作成します。

(6)Eventエディタ:1つ以上のイベントを選択したあと、上下にドラッグして大きさを変更するか、左右にドラッグして位置を変更します。

(7)Zoomバー:ハンドルをクリック&ドラッグしてエディタをズームイン・アウトします。

(8)ドローイングツール:ドローイングツールで様々なシェイプを描き、グリッドにパターンを加えることができます。シェイプの長さはグリッドの分割の長さによって決まります。ドローイングツールやモジュレーションをインサートしたり編集したりする方法について詳しくは、「ドローイングツール」、「モジュレーションを描く」、「モジュレーションをエディットする」をご覧ください。

(9)Stretchツール:複数のポイントを選択してこのツールを使うと、上下にドラッグすることでパターン内のモジュレーションポイントを引き伸ばしたり縮めたりすることができます。

  • 上にあるツールはノードを右または左に伸縮させます。
  • 下にあるツールはノードを上または下に伸縮させます。

(10):Rangeスイッチ:PerformerのレンジをBipolarまたは Unipolarに設定します。

(11)Initialize:全てのパフォーマンスデータを消去し、グリッドをBipolarまたはUnipolarの状態へリセットします。

(12)Rate:ホストのテンポに合わせてPerformerのスピードを設定します。センターポジションではスピードはホストテンポと同じになります。左端のポジションではスピードはホストテンポの8分の1になり、右端のポジションでは8倍になります。

(13)拍子/音価:インサートする拍子と音価を選択し、グリッドのモジュレーションポイントを編集します。

(14)アウトプットレベル:Performerモジュレーションのアウトプットレベルを設定します。ゼロにするとデータがアウトプットされません。

 

Performerを使用する

パラメーターを時間とともに変化させるために、グリッドにシェイプを追加してタイムライン上の異なる位置にある複数のモジュレーションポイントを操作することができます。そうすることでアサインしたパラメーターの値が変化します。モジュレーションポイントを上下に動かして新たな値に調整したり、あるいは左右に動かしてグリッド上の新たなポイントに調整できます。サウンドの音色を変化させるだけでなく、モジュレーションを使ってオシレーターのピッチ(あるいはピッチに関連する他のパラメーター)を上下させて時間とともに変わるメロディックなシーケンスを作ることもできます。メロディックなシーケンスを作り音色を変化させる際には、Remote Octaveのキースイッチを使って演奏し、完全な曲の構成を作ることもできます。

グリッドはそれぞれのPerformerにモジュレーションを付け加えるためのエリアです。ドローイングツールを使用して動的なモジュレーションのシェイプを付け加え、1つまたは複数のポイントをエディットすることができます。

ドローイングツール

ドローイングツールでは異なるシェイプのモジュレーションをリズムグリッド上へ描くことができます。以下がドローイングツールの概要です。

 

(1)ストリング:このツールは1つの音価よりも長い線を描くことができます。クリックしてグリッド上のモジュレーションポイントを設定すると、挿入したポイントから次のモジュレーションポイントまでのセグメントを作り出せます。次のモジュレーションポイントが存在しない場合はPerformerの終端までの長さになります。

(2)リニア:挿入したポイントから次のモジュレーションポイントまでの一定の値で引き伸ばします。

(3)スタティックユニット:現在の音価とリズム値に基づいて一定の連結されていないモジュレーションノードを設定します。

(4)傾斜A:Unipolarモードで描く場合、もしくはBipolarモードの上半分で描く場合、このツールは下降する傾斜を作り出します。Bipolarモードの下半分で描く場合は上昇する傾斜を作り出します。

(5)傾斜B:Unipolarモードで描く場合、もしくはBipolarモードの上半分で描く場合、このツールは上昇する傾斜を作り出します。Bipolarモードの下半分で描く場合は下降する傾斜を作り出します。

(6)トライアングル:三角形の傾斜を作り出します。上昇したのち鋭く下降する非サイン波の傾斜を作り出します。

(7)サイン:サイン波形を作り出します。スムーズなサイン波のカーブを作り出します。

モジュレーションを描く

ドローイングツールを使用するとグリッドにモジュレーションを付け加えることができます。シェイプを描くと選択されている拍子と音価にスナップします。拍子と音価の選択について詳しくは「Performerの概観」をご覧ください。

グリッド上にモジュレーションを描くには以下の操作をします。

1. 拍子と音価を選択します。

 

2. ドローイングツールを選択します。

 

3. マウスをクリックしてグリッドを越えてドラッグし、モジュレーションを描きます。

 

4. 描いているときにマウスを上下に動かして大きさを変化させます。

5. Performerをパラメーターにアサインします。

注意:Performerはパラメーターにアサインされないとプレイされません。また、そのパラメーターはRoutingで連結されている必要があります。Performerをパラメーターにアサインすることについて詳しくは「Performerをアサインする」をご覧ください。

Performerをアサインする

Performerのモジュレーションパターンの効果を聞く前に、まずはPerformerがパラメーターにアサインされている必要があります。

それぞれのPerformerをアサインする方法は同一です。一つのPerformerを複数のパラメーターに同時にアサインすることもできます。

Performerをパラメーターにアサインするには以下の操作をします。

1. Performer1(P1)の矢印アイコンをドラッグし、例えばウェーブルテーブルポジションの第一スロットへドラッグします。目的のモジュレーションの枠がハイライトされたらマウスのボタンを離してください。

 

2. モジュレーションスロットをクリックし上方向へドラッグして、Performerからウェーブテーブルポジションに適用されるモジュレーション量を増加させます。

 

3. さらに他のパラメーターにPerformerをアサインするためにはこの操作を繰り返します。別のPerformer(P2、P3)も同様です。

モジュレーションをエディットする

このセクションではPerformerのグリッドでモジュレーションをエディットするために利用可能な特徴の概観を述べます。

モジュレーションを選択する

モジュレーションポイントを選択するには、

Eventセレクトゾーン内でいくつかのモジュレーションポイントを越えてドラッグし、それらをハイライトします。その後、それらを消去したり、移動させたり曲げたりすることができます。

モジュレーションを消去する

個々のモジュレーションポイントや複数のポイントを消去することができます。

モジュレーションポイントを消去するには、

・モジュレーションポイントをダブルクリックします。

複数のモジュレーションポイントを消去するには、

・1つのモジュレーションポイントを選択して右または左にドラッグします。その場所から目的の場所までにあるポイントが消去されます。

Performer内のモジュレーションを全て消去するには、

・InitializeボタンをクリックしてBipolarまたはUnipolarを選択し、グリッドをリセットします。

3つあるPerformerの全てのモジュレーションパターンを消去するには、

・Remote Octaveオーバービューの下段のグリッドエリアをダブルクリックします。Remote Octaveについて詳しくは「Performerの概観」をご覧ください。

モジュレーションを動かす

1つ、または複数のモジュレーションポイントを動かすことができます。

モジュレーションポイントを動かすには、

・Selectionゾーン内で動かしたいポイントを選択し、Segmentゾーン内でそれらのポイントを水平または垂直方向に動かします。動かした先にある全てのポイントは消去されます。

モジュレーションカーブを曲げる

・グリッド上にあるモジュレーションカーブにマウスのカーソルを置き、クリックして上下にドラッグします。

 

Remote Octave7)原文でRemoveとなっているものを訂正

Remote OctaveにはP1、P2、P3のPerformerそれぞれにつき12個のバリエーションへアクセスできる特別なキーゾーンがあります。これらの選択可能なセットはMIDIノートをキースイッチとして使用することで切り替えることができます。あるいは、Massive Xの最下段にある12のセットの内の1つをマウスで選択することでも切り替えることもできます。

Remote Octaveとは、異なるPerformerのモジュレーションパターンを選択できるキーボード上のリモコンであると考えることができます。これを使用すると、演奏している最中にモジュレーションを変化させてバリエーションを作り出すことができます。あるいは、ホストシーケンサー上でリモートシーケンスを打ち込みする際に正確なコントロールをするために使うこともできます。

Remote Octaveの概観

このセクションではRemote Octaveの概観を述べます。

 

(1)Remote Octaveキー:下段のエリアには12個のRemote Octaveキーがあります。このエリアではキーが使用中かどうかの情報を表示しており、全てのPerformerにおける使用中のパターンをマウスを使って手動で切り替えることができます。

Remote Octaveキーの概観を以下に示します。

・パターン名の隣にあるPlayアイコンは現在プレイされているPerformerのパターンを示しています。

 

・オレンジ色の枠は、次の「ローンチ」シグナルが受信された時にどのパターンがプレイされるかを示しています。このシグナルはRemote Octaveを変更(例えば最下段でマウスを使用して切り替えるか、あるいはMIDIノートをRemote Octaveゾーンで使用)することでトリガーできます。またはMIDIノートによってもトリガーできます。Launchオプションの選択ボタンはPerformer Gridビュー(3)内にあります。Key Launchオプション(5)を使用した場合、Remote Octaveで切り替えを行っても新しく選択されたパターンがすぐにプレイ開始されることはありません。

 

・灰色の背景は現在編集されているパターンを示しています。パターンをプレイしている最中に他のパターンを編集することもできます。そのためにはプレイされているパターン以外のパターンを右クリックして下さい。

 

・オレンジ色の背景はEditor内で現在開いてプレイされているパターンを示しています。右クリックでキーを選択すると、他のパターンがプレイされている最中に編集したい他のパターンを開くことができます。

 

(2)Remote MIDIコントロール:このボタンはRemote Octave Keyゾーン(Performer Gridビュー(8)で定義されている)に入力されるMIDIノートをミュートします。この機能は、例えばPerformerパターンによるモジュレーション効果を編集したり聞いたりしているときにホストシーケンサーからの切り替えをできないようにするときに使用します。

(3)Performer Gridビュー:GridオプションボタンはPerformerエディタが選択されているときにMassive Xの中段エリアに表示されます。この機能はPerformerのプレイバックオプションと全Performerのパターンの概観を含むGridビューを表示します。

(4)トリガーモード:このセレクターはLoopとOneShotのモードを切り替えます。

・LoopではLoopマーカー内のセクションが繰り返されます。

・OneShotではLoopマーカー内のセクションが一度だけプレイされます。

このPerformerオプションは3つのPerformer全てに一括して適用されます。

(5)Performer Launchオプション:この選択ボタンは、Remote Octave Keyのセクション(1)で説明されているPerformer Launchオプションを切り替えるためのものです。Remoteでは、パターンが変更されるとそのままパターンのセットをプレイ開始します。Keyスイッチのセットでは、新たなパターンに照準を合わせ、このパターンは次のMIDIノートがプレイされたときにプレイ開始します。Keyのオプションは、演奏する全てのノートごとにモジュレーションパターンをリスタートさせたいと考えているキーボードプレイヤーにはとても役立ちます。一方、DAWでPerformerのパターンを打ち込みたい場合にはRemote Launchオプションが役立ちます。

(6)Remoteパワーボタン:このボタンはMIDIを使用したRemote Octaveキースイッチのコントロールをオン/オフします。このボタンで鍵盤の範囲のフィルタリングをオフにしてキーボード上の全てのレンジが演奏に使えるようになります。

(7)Remoteキーゾーン:Remote OctaveでMIDIノートコントロールに使用する鍵盤の範囲は、Remote Performer GridビューのRemoteハンドルをドラッグすることで上下にシフトできます。

(8)Performer Gridオーバービュー:Gridのオーバービューは上段にP1、中段にP2、下段にP3が配置されています。現在プレイされているパターンを含む列はオレンジ色の枠でハイライトされます。現在エディタで表示されているパターンは黒い枠で表示されます。Performerエディタと同じくプレイバックカーソルが表示されます。12個のパターンバリエーションは同じ列に順に配置されています。Gridは全てのモジュレーションパターンの概観を表示し、パターンのセットや個々のパターンのコピー、スワップをするのに便利です。

・パターンをコピーするにはパターンを別のスロットへドラッグ&ドロップします。

・パターンをスワップするには、パターンを右クリックして2つのスロットの間でドラッグ&ドロップします。

 

 

 

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1. pdfリンク
2, 7. 原文でRemoveとなっているものを訂正
3. この箇所は原文では間違った説明になっていると思われるため修正
4, 6. 原文では6になっていたが8と思われる
5. 原文はthe number Barとなっているため訂正

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